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小論文の書き方


小論文の書き方 目次

 1 小論文とは
 1−1 小論文とは
 1−2 作文・感想文との違い
 1−3 小論文には正解がない
 1−4 小論文を書くために必要となるもの

 2 小論文の書き方
 2−1 文章の展開の仕方
 2−2 賛成か反対か
 2−3 対比を軸にして考えよう


1 小論文とは

1−1 小論文とは

 小論文とは小さい論文、つまり短い論文のことです。では、そもそも論文とは何でしょうか?

 論文とは、読んで字のごとく、何かを論じる文章のことです。論じるために必要となるのが、「問い」と「答え」です。
 それが例えば卒業論文では数万字という長さで論じなければなりません。それに対して、小論文では数百字〜千字程度で論じることが要求されます。

 つまり、受験では、課題を通して問いを作ることができるのか、その問いに答えることができるのかが試されます。ですので、まずは問いと答えを用意するということが、小論文の大切な骨格なのです。


1−2 作文・感想文との違い

 ざっくりわかりやすくいうと、作文や感想文は思ったことを書くものです。それに対して、小論文は読んだ相手を説得できなければなりません。

 例えば、読書感想文であれば、本を読んで思ったことをつらつらと書いていけばそれで完成です。ですが、もしも読書感想小論文なるものがあるとしたら、なぜそう思ったのかを相手を説得できるように書かなければなりません。

感想文〜という部分がつまらなかった。
小論文〜という部分がこの作品をつまらなくさせている。なぜならば、〜という有名な作品とほとんど同じ展開で、目新しさが全くないからだ。
〜という部分がこの作品をつまらなくさせている。なぜならば、その展開にはまったく現実感がなく、突拍子のないものだからだ。

 小論文は、「説得」という部分がやっかいなところで、いかにして説得力を生み出すのかが合否の分かれ目になります。


1−3 小論文には正解がない

 もしも小論文以外の科目だったら、正解がないと出題ミスとなり大変なことになります。ですが、小論文はそうではありません。
 小論文には正解が存在しません。そこが難しいところなのですが、楽しいところでもあります。

 正解がないということは、あらゆる可能性があるともいえます。与えられたテーマに対して、いろいろな意見の可能性があるのです。それだけ自由であるともいえます。
 自由な視点と発想で、いろいろな可能性を模索することが、小論文を書く上で一番大切なことです。


1−4 小論文を書くために必要となるもの

 わかりやすい例をあげると、小論文は料理と似ていいます。小論文の試験は、いわばおいしい料理を作ることができるかという試験なのです。では、料理を作るには何が必要でしょうか。
 まず、材料がなくては料理を作ることはできません。材料なしに料理を作ることは、少なくとも人間には無理ですよね。
 では、材料さえあれば料理を作ることができるでしょうか。作ることはできます。ですが、それが「おいしい」かというと、また別問題です。例え材料があっても、それをめちゃくちゃに調理してしまっては、どんなにすばらしい食材も台無しです。おいしい料理を作るためには、料理の「うで」が必要です。

 では、料理の材料とうでを小論文に当てはめるとどうなるでしょうか。
 材料にあたるのは「知識」であり、うでにあたるのは「論理」です。

 知識がないと小論文が書けないというのは、わかりやすい話でしょう。
 例えば、医療系の学部では「クオリティ・オブ・ライフについて述べよ」という典型的な問題がありますが、もしもクオリティ・オブ・ライフという言葉を知らなかったらどうなるでしょうか。課題文があればまだその内容から推測のしようがありますが、単に設問があるだけのタイプだったら、もうどうしようもありません。
 小論文を書く上で最低限の知識はどうしても必要になるものです。受験をする学部に関係のある基本的な知識から身につけていくようにしましょう。

 次に論理ですが、小論文では文章の展開の仕方という理解でひとまずはよいでしょう。詳しくは2小論文の書き方で説明をしていきます。
 文章の展開の仕方がしっかりしていないと、いくら知識があってもそれを活かすことができません。わかりやすい例でいえば、書いていることに矛盾があったとしたら、いくら知識があっても説得力がありませんよね。ですので、文章の展開の方法をきちんと身につける必要があります。
 というと難しいように聞こえるのですが、簡単な方法があります。それはパターンを覚えることです。パターンさえ身についてしまえば、後は必要なものを当てはめていくだけで文章の展開は問題がなくなります。

 小論文の問題は多くの場合は大問が一つです。多くても二つまでという場合がほとんどです。そうなりますと、知識はどうしても当たり外れがでやすいです。知っていて当然の知識を聞いてくる問題もありますが、受験生が知らないような話をその場で考えさせるような問題もあります。
 ですので、まずは最低限の知識を身に付けた上で、文章の展開をきちんと身につけるというのが、小論文の基本です。その上で、できるだけ知識を増やしていくという方針が、合格への近道です。



2 小論文の書き方

2−1 文章の展開の仕方

 文章の展開の仕方はいろいろとあるのですが、ここでは最も基本的で応用がきく展開の仕方を紹介します。
 一番出題されることの多い800〜1000字程度の小論文を念頭に、4段落構成で説明をしますが、短い場合には展開の方法自体は同じようにして、段落を少なくするように調整をしてください。600字であれば2か3段落、400字であれば2段落がよいでしょう。

第一段落(テーマの提示)
 第一段落の役割は、テーマをあげることです。
 課題文がある場合は、まずはここでその要約をしましょう。課題文の内容がそのままテーマとなります。
 課題文がない場合は、工夫が必要となります。設問から与えられたテーマをなぜ論じる必要があるのかを述べましょう。具体的には、そのテーマの説明や重要性です。

 そして、この段落の一番大事なところは、問いをたてることです。段落の最後に疑問文を書くようにしましょう。

 「著者の〜という主張は正しいのだろうか」
 「〜には何が必要なのだろうか」
 といったように疑問文で段落を終わらせることで、論文に必要な「問い」を明確に示すことができます。

第二段落(自分の意見と反対の意見・ことがら)
 第二段落の役割は、自分とは異なる意見やことがらを提示することです。
 話をわかりやすくするために、先に第三段落の話をしてしまいますが、第三段落は自分の意見を述べる段落です。その反対になることをこの段落に書いていきましょう。
 意見であれば自分の意見と反対のことを書けばよいです。また、第三段落で〜が必要だということを主張するのであれば、それがないという現状を書いてみるとよいでしょう。
 自分と対立する意見やことがらをあげることで、単に自分の意見を述べるだけの場合よりも、視点の広さや議論の深さを印象づけることができます。

第三段落(自分の意見)
 第三段落が一番重要な部分です。ここの内容がいまいちだと、合格はつかみ取れません。
 分量は、四つの段落の中で一番長くなるようにしましょう。
 また、具体例を使うことで、自分の意見を補強したり、意見が当てはまる事例があることを示すとよいでしょう。

第四段落(結論)
 最後に結論を述べましょう。結論は第二段落、第三段落で述べてきた内容のまとめなので、短くてかまいません。むしろ、長いと字数の無駄遣いになってしまう場合がほとんどです。
 注意点は、第一段落の問いに対する答えになっていなければならないということです。

 第一段落の問い → 第四段落の答え
 第三段落の意見 → 第四段落の結論

 という二つの流れができるように第四段落を完成させましょう。


2−2 賛成か反対か

 課題文がある場合は、その著者の意見に賛成か反対かを書くのが一番基本的で簡単な方針です(もちろん、違う切り口で書く方法もありますが)。

 では、賛成するのと反対するのではどちらがよりよいのでしょうか。
 そういうと、課題文の内容によるという答えが返ってきそうです。もちろん、それはその通りですし、間違ってはいません。
 ですが、反対する方が書きやすい場合が多いです。なぜならば、反対する分には著者の主張に一か所でも穴をみつけることができれば、そこをつけばよいからです。
 賛成する場合は、ただ単に著者の主張は正しいというだけでは芸がないので、著者の意見を補強する何かが必要であります。ですが、下手にそれをやると「あら」がみえてしまうことも多いので、賛成にまわる場合はより気配りが必要なのです。
 反対する場合は一か所でもおかしいところを突けばいいのですが、賛成する場合はおかしいところがないように注意をしなければなりません。その配慮が必要な分、反対の方が楽なのです。


2−3 対比を軸にして考えよう

 小論文では異なる意見の対立を意識することが大切です。
 世の中のほとんどの意見には、良い面もあれば悪い面もあります。ですので、それぞれのプラスとマイナス、メリットとデメリットを考えていきましょう。そうすることによって、論点が明確になり、説得力が出てきます。
 また、対比を組み込むことで、「〜だとこうなるが、〜だとこうなる」というわかりやすい構図が生まれます。
 ですので、小論文の構想を考えるときには、自分の意見を考えると思いますが、その意見の核となるキーワードだけではなくて、それと対立する(反対の)キーワードも重要になってきます。
 そうすることで、第二段落と第三段落の展開が楽になります。